忘備録

考えたことを書いて忘れる用の何か。

境界の彼方の6話がダンスでいいのと妖夢が気持ち悪いのと

境界の彼方の6話が興味深い。
 今までのこの「境界の彼方」という作品は、話のかなりの部分を真剣な戦闘や葛藤などのシリアス路線で描かれていて、これまでの描かれ方と6話とは明らかに一線を画した内容になっている。
突然6話ではギャグとダンスを主体にした上に、まるでアイドルオタクを皮肉にするような内容のストーリーになる。
 まず妖夢の位置付けが変わり、視聴者の目線と重なるようになって話が展開していく。これは近づくと悪臭を放ち、倒した時の価値は高く、美少女とダンスには目がない存在、その他中々に気持ち悪い雄の妖夢として描かれている。
6話終盤のダンスを披露するシーンでは「妖夢の視点」で正面からの5人を見る場面、つまり妖夢と視聴者の視点をあえて被せていくシーンが多用される。
 その妖夢の注意を引き、倒すために必死にダンスを練習して披露するというのが今回の話の流れで、いわゆるアイドルアニメの路線になっている。
ラストでは妖夢の注意を引き、その隙に倒すために必死に練習したダンスは完璧に決まるが、とどめを刺す事を忘れ主人公メンバーは賞金も得ることができず、悪臭にまみれ、くたびれ損になる。
ここまでがあらすじでこの話をみた感想。
これを見た瞬間から確かにこういうのを待っていたが、妙に違和感の残る気分になった。
ダンスとコミカル路線が見たい面と、アニメの脚本が狙った視聴者の妖夢化する部分がみごとに噛み合って、オタクを妖夢として気持ち悪く描写する代わりに、アニメのキャラがダンスさせることに成功した。これでかなりの部分で需要と供給が満たされる結果となるようにも受け取れる。
 本来はたとえ暗にでも自らを怪物として揶揄されると、受け手としては自らの負の部分が出ている脚本に対して反発が発生するはずだけど、今回はその代わりに綺麗な作画によるダンスと音楽が提供され、それが見れる結果になるならいくらでも気持ち悪い描写をしてもいいよとでも言うような協調関係が出来上がった。すくなくとも自分はそういう風に感じた。
 今までじっくりと固めていったシリアス路線がそれまでこう行くんじゃないかと予想されていた伏線の回収とか主人公の成長なんかと全く結びつかない部分で、萌えやアイドルを追いかける人間に対して皮肉な視線を投げかけるオリジナルストーリーを軸に収束して自分の中で熱が出てしまったのはある意味、今のこのアニメを見ている状況を象徴している。
まあ、着地点としては自分もこういうダンスが見れるならと思ってしまうからなんとも言い難いもやもや感が。うーん、話としては良かったがこれでいいのかどうか。