忘備録

考えたことを書いて忘れる用の何か。

響けユーフォニアム 映画「リズと青い鳥」 感想

シリーズの短編集で真昼のイルミネーションに書いてある文章が個人的にヒットしたのでそのままの流れに乗ってみることに。
みぞれってここまで髪をさわるのかと思うくらいさわっていた。
これは多分今回からだと思う。
緊張する瞬間に掴むスカートや何気ない動作として膝を伸ばす、足の組み方のようながモーションが本当に細かい。
会話も結構しっかり間の取れた使い方をして、それぞれのキャラのペースというのが上手く表現的に分けられてて感心する。
おそらく普通の尺だったらここまで出来なかったのではないだろうか。劇場版だからそこの良さかも知れない。
リズの童話パートに関してだけれども、正直な話違和感が大きかった気がする。
それは意図的に非日常として差をつけているのもあるのだろう。
北宇治パートの学校は歩く仕草の一歩一歩、小道具の触り方、会話する時の心の揺れ具合までも密に表現しているのではないかと思う一方で、リズたちのアクションは流石にその世界の小物なんかと連動して馴染んでいるのかまではいかず若干掴みきれない。
この小屋に住んでいる、パンの仕事の手伝いをしている、時おり動物たちに分け与えている。
青い鳥と一緒に暮らすのもそのシーンの会話としてきっぱりしすぎているようにも。
もちろん心情としての変化の過程が表情で描かれていく部分は良いことに差はないが。
逆に自分達がいる日常にあるからこそ想像のつく範囲であったから、北宇治の生徒たちはあそこまでやっているのに・・・という感覚になったのかも知れない。
声に関してもリアルトーン側のリズと北宇治の差が気にならなかった訳ではないが、そこはまあ前回からの流れで慣れの問題か。
キャラで見ていくと剣崎梨々花は今回の映画の中ではもっともみぞれと関係性の大きかった一年で、先輩としてあまりコミュニケーションが取れないという面とその関係ができるまでの部分。
後名前の言い間違えに関してはこの人も新山先生も言っていたがあれはなんだろうか?自分の中で結論が出ない。
余談だがこの部活で女子が会話している時のなんか入っていくのに躊躇う、そもそもこれ見てて大丈夫なのかと感じてしまうシーンが多い。
TV版より遙かに繊細かつ他の侵入を許さない空間。
麗奈はここピックアップするのかという言葉のひと刺しを加える役割は健在で、流石である。
久美子も今回ではデュエット対抗側に見える存在として演奏していた側。
サファイアは地味に最後のみぞれオーボエパートの後ろにいたのがいちばん記憶に残った。
葉月のアイスクリーム含めて、大好きのハグなんかは原作読んだ時からあって会話における???感は非常に女子高生のそれっぽくて好きな部分。
夏紀は今回描写されていなかったがあのオーディション事件もあり、部長疲れしている優子と一緒にどこか乾いた感じの出番だった。
ただこちらのキャラクターデザインの方がシャープさの中にキレと強さが見える感じがしてもしかしたら絵的には一番合っていたキャラな気もする。
滝、橋本は指摘する部分に関しては今回は役割に徹したか。
新山先生の導きで何気なく誘導するポジションに感じたが、やはり映像にすると選別している感覚を受けやすい。
優しい言葉の中にある確かな差。
それと同時に大学受験に対しての姿勢はほぼ同じ2人なのに、どうしても心苦しい対抗感があるのが希美の側になってしまう。
ああこの対抗心があるのはよろしくないな・・・と心の中では思いつつ、そういう部分があるが故の話なんだと納得させなければいけない感覚。
このすれ違いが描写として大事ではあるけど、ここを自分の中で噛み砕くのが多分見ている時の辛さと言うか重たさではあった。
それが発生するのは悪いというわけで決して無いが、遠くから一歩引いた視聴者として見る時の気まずさのような。
相談の後にアドバイスを受けたみぞれの演奏が圧倒的になってべた褒めされていくシーンは、原作だと先生やコーチまで太鼓判を押すよりは今回の映画のようにカットで後の状況をみせた方が見やすく、同様にラストも2人の関係性が離れつつ戻りつつお互いに思うものが確実になった瞬間でスパンと終わらせたのはかなり良かった。
そこは話をうまくこの2人主体に区分けして映像作品になった故の良さだと思う。
はばたいた青い鳥、混ざった2つの色合い、書き換わった文字を出し、それは抽象表現で示す、でもこの2人は日常の会話で下校時に何を食べるかどうかの話をする普段どおりの日々というのは後味もいい。
音楽に関しては聲の形がサントラを購入する位にはハマっていたのでそのテイストも混じっていたのは良かった。
なによりリズと青い鳥の実在感が増したのが映画音楽として効果的な部分なんじゃないだろうか。
互いに素というワードが関係性のポイントにも。
次の映画の製作も決まっているのでここで描写されなかった部分やちらっと見えた新入生のキャラが輝く瞬間も見れるか期待。