「劇場版アイドルマスター 輝きの向こう側へ」感想(ネタバレ)
まず何より矢吹可奈が劇場版で大きくスポットを当てられてて記憶に残っている。
もしも各メンバーの自己紹介と特徴を見せた場面、いわゆるキャラのお約束的な描写を除いた話になるとこの映画は天海春香と矢吹可奈、そして北沢志保の関係を書いた部分が一番大きいウェイトを占めている話に受け取れた。
自分はゲーム版の2をプレイしていて、プロデューサーが海外に研修に行くという話も2の基本シナリオに存在していたし、冒頭で会話になっていたアイマス各メンバーの展望的なものもそれに準じているんだけど、映画という一本のシナリオにオリジナルの展開があったとしたら、山場はライブシーンよりも矢吹可奈を中心としたミリオンメンバーとの関係改善の話だった気がする。
新規感を感じたのは冒頭の生っすかでやっていた映画宣伝に作られた映像と、後輩と言って差し支えないミリオン組に対しての関係。
最初の魔法大戦的な話で入っていって中々のカオスなシナリオをするのかと思いきやそれは掴みで、これメインだったらどういう話になるのかわからなかったが、アリーナライブの事前準備の空気感と対立が主軸。
意外ではあるが、もう765メンバーも自己紹介後は春香にフォローをたまに入れるのと日常の絵で見せるので時間いっぱいといった所になっていて、バックダンサーとしてのミリオンメンバーがどうすればライブに馴染めるかを大部分の時間を費やしていた。
ダンスの作画もそれは凄いし、合宿中の「go my way」とラストの「M@STER PIECE」が確かに気合入っていた。ラストライブのカメラワークとしては何だか広く取り過ぎているのかちょっと動きの激しい視点で旋回したりするのが意外と辛い部分があったり。
後、会場全体を移してキャラが遠くになるとCGっぽい動きなるのとアップの時のアニメ作画って言うギャップがあるなとか考えてしまった。
あの人数を描きながら広角に動かしてライブのダンス作画をするのは相当に苦労してるんだという感情が先に出てきた。が、基本的にはそれも含めで今まで見たこと無いところから写したダンスシーン。
ちょっと作画で気になったのは3箇所あって、矢吹可奈がお菓子をまき散らして春香が拾うシーンはなんか動きがスローだったのと、ジュピターと出会ったシーンの男側の顔、春香の携帯電話が完全に箱になっちゃって見えたシーンがあったが、まあそこまででも無い……、きっと忙しかったんだろな。
主な話の感想としては結構スポットを当てるメンバーに対しての舵切りを強く行った印象。
本来だったら人間関係の対立とスケジュールの難航は765のメンバーを主軸にしても恐らく問題なく進めることはある意味できたのかもしれないけど、そこに準主役というかヒロイン枠で矢吹可奈という存在をメインにしようというシナリオにしたのは結構すごい決断なんじゃないだろうか。
自分としては映画を見る前はミリオンのメンバーはガッツリとシナリオに絡んでくるというよりはちょっと関わる程度だと思っていた分、むしろリーダーに置いた春香以外の765プロのメンバーを超えたインパクトでピックアップされるのはかなり新鮮でよかった。プロデューサーの渡米も矢吹可奈の騒動の起伏に比べたらあっさりとした終わらせ方になっているし。
ミリオンの方は配信直後くらいでしかやってなくてそこまでしっかりとチェックしてなかったが、矢吹可奈のキャラクターは映画版だとかなり違ってる様な気がした。と言っても物語を駆動させる最大のキャラだったからむしろ改めてピックアップされたという感じか。
765メンバーが決断することに対しての他メンバーの信頼感とかは確かにアニメの本編で描いたから、例え明確に春香がリーダーとして指名されてもアニメ版と同じ流れななるのかもしれない。
ライブ前の静かな会場とか、合宿中の部活動の先輩後輩感はなんとなく生々しく感じた、気圧されて萎縮していく感じは凄いわかる。
中盤からの曇りや雨の降っているシーン、夜の不安なところから矢吹可奈が太ってる事を告白して晴れになるまでのシリアスがこの映画の肝だった気がする。
解決からは一気に流れでもっていけるし、そこに行き着くまでの過程のほうが何だか見ていて考えることが多かった。そこからの勢いと映像が良かったということも大事な要素だが。
でも何だか自分に自身がなくなって嫌になって逃げるのと、メールとか連絡を無視するっていう行動は割りと日本全国共通した問題なんだろうなと思う。
765メンバーの成長とミリオンとの対比、そこから差を見せた後の協調が綺麗に受け取れるとみれるかどうかっていうのが見終えた後には頭の中に浮かんでた。春香と可奈、伊織と志保はこれで一気に近づいたか。
EDのワンカットには恐らく渋谷凛らしき人物が。これは何か有るような無いような……。